米銀JPモルガン・チェースは、米国経済が今年、トランプ政権による新規関税政策によって景気後退(リセッション)に陥ると予測している。同社のチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェローリ氏によれば、関税が経済活動を抑制し、雇用と失業率にも悪影響を及ぼすという。
フェローリ氏は「我々は現在、関税の重みで実質国内総生産(GDP)が縮小するとみており、今年の成長率予想を従来のプラス1.3%からマイナス0.3%に下方修正した」と説明。また、「時間経過とともに失業率は5.3%まで上昇する可能性がある」と指摘している。
トランプ大統領による関税発表後、株価は急落し、S&P500種株価指数が11カ月ぶりの安値を記録した。また、5兆4000億ドル(約793兆円)の時価総額が消失している。
さらに、他の金融機関も景気後退への懸念を強めている。バークレイズは2025年に「リセッションと合致する」形でGDPが縮小すると予測し、シティグループやUBSも今年の成長率予想を下方修正している。
UBSのエコノミスト、ジョナサン・ピングル氏は「米国への輸入は20%以上減少するとみており、その大部分は今後数四半期内に発生するだろう」と分析。また、「30兆ドル規模の経済における大きなマクロ経済的調整が予想される」と警告している。