モーター大手のニデックは4日、工作機械大手の牧野フライス製作所に対する株式公開買い付け(TOB)を開始した。これにより、国内企業間では異例となる「同意なき買収」が進行中だ。
ニデックは、5月21日までに自己株式を除く議決権の50%以上を獲得するため、買い付け価格を1株1万1000円に設定した。この価格は公表前の株価から約42%高い水準であり、牧野フライス側からの同意なしで手続きが進められている。
牧野フライスはこの取り組みに対し否定的な見解を表明しており、株主たちにとって適切な判断の機会が奪われたと不満を漏らしている。一方、ニデックの荒木隆光専務執行役員は記者会見で「必ず最後まで成し遂げる」と意欲を見せている。
今回の取り組みには経済産業省が2023年に策定した指針も影響を与えている。これにより、同意なき買収について企業価値の向上につながるケースを積極的に評価することが可能となった。
ニデックは過去74件もの合併・買収(M&A)を通じて成長し、株主価値を高めてきた実績を持つ。同社はこの新たな形態の買収によって、より多くの企業との統合が促進されると期待している。
現在、この「同意なき買収」の成否には業界内外から注目が集まっている。