最近、外資系投資ファンドによる日本企業へのTOB(株式公開買い付け)や完全子会社化が相次いでいます。ベインキャピタルは田辺三菱製薬やヨーク・ホールディングスにTOBを実施し、カーライル・グループは日本KFCやユーザベースの完全子会社化を行いました。一方で、これらの買収後の企業環境はどのような変貌を遂げているのでしょうか?
Business Insider Japanでは外資系ファンドが買収した企業に勤務する社員に対して匿名インタビューを行い、彼らの視点から状況を探りました。
「数字」を追い求めざるを得ない現実:高すぎる売り上げ目標と離職者続出
ファンドは株価上昇や会社売却による利益を追求します。そのため、業績向上を証明するための「数字」作りに力を入れています。
ある50代の幹部Aさんによると、コストカットがじわじわと進んでいます。例えば、管理職を中心に評価や人事で大きな差異が見られ、今後会社に残るべき人とそうでない人を分ける手法としています。
また、バックオフィスの効率化も目立ちます。余剰人員に対して早期退職を募るという噂もあります。さらに、成長分野への投資も削減されており、M&Aや新規事業への投資が大幅に減少しています。
社員たちは「ビジョンが蔑ろにされている」と感じている
ファンドの経営方針に対し、社員は「ビジョンが蔑ろにされている」と感じるようです。「金のためにここまでやるのか……だまされた思い」という声も聞かれます。