米国の経済懸念と新たな関税措置への対応として、投資銀行大手のゴールドマン・サックスは円を安全資産として見なす傾向があると指摘しています。グローバル外為・金利・新興市場戦略責任者のカマクシャ・トリベディ氏によれば、米国の景気後退リスクが高まると円の需要が増えると予想され、円相場は今年中に対ドルで140円台前半に上昇すると見込んでいます。現在の予測はブルームバーグの調査結果よりも強気な数値となっています。
トリベディ氏はまた、「金利と株価が同時に下落する場合、円が最善のパフォーマンスを示す」と述べています。「米国の成長見通しに対する懸念が高まるにつれて、円はより魅力的なヘッジ手段として機能しています」。
一方で、モルガン・スタンレーと元米金融当局者はトランプ大統領による関税措置が米経済を直撃する可能性があると警告。しかし、世界的な貿易戦争の激化に対する高パフォーマンス資産については意見が分かれています。
ゴールドマン・サックスは最近のエコノミストレポートで年内の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ回数を2回から3回に増やし、経済懸念と関税リスクによりS&P500種株価指数の見通しも下方修正しました。
しかし、トリベディ氏は米雇用統計が今後のドル相場に対する大きな影響を持つと考えており、「労働市場データが弱いサプライズを示した場合、為替市場とグローバルマーケットの投資家にとって重要な焦点となるでしょう。円はそのような状況下で非常に良いヘッジ手段となります」と述べています。