厚生労働省の研究班が今年1月、全国の認知症疾患医療センターなどを通じて約130人の家族を対象にした調査結果を公表しました。この最新の調査により、認知症と診断された人がデイサービスなどの介護保険サービスを利用開始するまでの平均期間が1年3カ月ほどであることが明らかになりました。
以前、8年前に行われた調査では、約2か月長かったことから、ここ数年の改善は見られるものの、依然として大きな問題があると研究班は指摘しています。診断後の空白期間の主な要因としては、本人や家族がまだ支援が必要とは感じていない、受けたい介護サービスがわからない、医療機関からの情報提供が少ないといった理由が挙げられています。
高知県立大学の矢吹知之教授は、「認知症と診断された後に社会的サポートにつながるまでに時間がかかるほど、症状の進行や家族の負担増加が懸念される」と警告。早期に支援を受ける体制や情報提供の強化が必要だと提言しています。