激しい関節痛を引き起こす痛風は、血中の尿酸値が高いことが主な原因とされています。特に肥満の人では尿酸値が高くなりやすい傾向がありますが、そのメカニズムは未解明の部分が多くありました。この謎に帝京大学と東京科学大学の研究グループが取り組み、驚きの発見を報告しています。
尿酸は腎臓で再吸収されますが、「URAT1」と呼ばれるたんぱく質がその過程に関与していることが判明しました。最新の研究では、血糖値を下げるホルモン「インスリン」がこのたんぱく質の働きを活性化させる役割があることが明らかとなりました。つまり、肥満の人で多く分泌されるインスリンは、「URAT1」の活動を強めることで尿酸の再吸収を進めるため、血中での尿酸値が上昇しやすくなるという仕組みが示されました。
さらに研究グループは約500人の遺伝情報から特定の遺伝子変異がある人において、「URAT1」たんぱく質の量が多くなる傾向にあることも発見しました。これは肥満と遺伝の両面から痛風のリスクが高まることを示しています。
この新たな研究成果は、肥満や遺伝的要因による尿酸値上昇のメカニズムを理解し、予防策を立てる上で重要な一歩となるでしょう。