野村総合研究所(NRI)が発表した調査によれば、2023年時点で純金融資産を1億円以上保有する「富裕層」と「超富裕層」が165万世帯に達し、過去最多となっている。この中には、「いつの間にか富裕層」と呼ばれる新たな層も含まれており、その多くは40代後半から50代の一般会社員で、年収は平均500万~600万円である。
「いつの間にか富裕層」は、純金融資産が5千万円以上1億円未満の「準富裕層」として認識されていた層が、株価の高騰により気づかないうちにランクアップした人々だ。この急増要因として、株式相場の上昇やアベノミクスによる株主還元強化と大規模な金融緩和がある。
エコノミストの崔真淑さんによると、「アベノミクス」以降の株価上昇により資産運用の議論が活発になり、従業員持株会での自社株購入が増えたことが富裕層への道筋を作った。
また、2014年には少額投資非課税制度(NISA)が始まり、若い世代も資産をコツコツと増やしてきた。これにより現在の「いつの間にか富裕層」の出現が可能になったというわけだ。
なお、資産が増えている人たちは基本的には都市部に集中しているようだ。