おととし9月に発生した千葉県、茨城県、福島県で見られた線状降水帯による大雨は、多くの地域で洪水や土砂災害を引き起こし、特に千葉県では2300以上の住宅が被害を受けました。気象学の専門家である立正大学准教授の平田英隆氏率いる研究チームは、この巨大な雨の要因を解明しようとスーパーコンピュータを用いて詳細なシミュレーションを行いました。
その結果、「海洋熱波」が関与していることが明らかになりました。「海洋熱波」とは海面水温が一時的に極端に上昇し、大気中の水蒸気の量を増加させる現象です。今回の事例では、日本の南を流れる暖流が蛇行したことで発生しました。
研究チームによると、「海洋熱波」は沿岸地域での雨雲発達を促進し、一部の地域で記録的な大雨を引き起こす可能性があると指摘しています。被害が大きかった地域では平均雨量が3倍近くに増えたというデータもあります。
この研究成果は「海洋熱波」についてより深く理解するための一歩であり、今後も気象学の専門家たちによるさらなる研究が期待されています。