フロリダ州セントピーターズバーグ(AP通信) - 一貫して学術界に携わってきた聖タ・オノ氏は、フロリダ大学長職の候補として却下された。この決定には、過去に多様性、公平性、包摂(DEI)プログラムに対する支持を示し、保守派が受け入れ難いと批判する自由主義的なイデオロギーを持つという理由があった。
フロリダ州立大学システム評議会は10対6でオノ氏の選任を否決した。この評議会はフロリダ州内の大学を統括しており、先月にフロリダ大学評議会がオノ氏を学校長職として正式に認めた直後に行われたものだ。
オノ氏の契約には、DEIプログラムや気候変動対策など、保守派にとって不適切なと思われるイニシアチブを抑制する方針が含まれていた。また、トランプ大統領時代に設置された政府効率化局と協力し、フロリダ州の高等教育ビジョンに「強く同調」する他の大学職員や学部長を選任することも求められた。
共和党上院議員のリック・スコット氏はソーシャルメディア上で、「学生を保護し質の高い教育を受けさせることが保証されない」と述べ、オノ氏に対して批判的だった。フロリダ州選出の共和党下院議員たちも同様に反対の立場を表明した。
一方で、オノ氏自身はInside Higher Ed誌にて「DEIイニシアチブは当初は学生の公平な機会と正義を目指していた」と説明。しかし、「最終的にはこの動きが思想的・分断的なものとなり、学生の成功とは無関係になった」と批判し、自身の取り組みを転換したことを明らかにした。
フロリダ州知事ドナルド・デサンティス氏は「ワーキング」ポリシーと称するイニシアチブを推進しており、「woke(目覚めた)」政策であるDEIを排除することを目指している。しかし、彼自身はオノ氏の就任について明言しておらず、過去にオノ氏が示した発言や行動から不快感を表明していた。
フロリダ大学評議会でのこの審査プロセスでは、保守派の州下院議員たちにより厳しい質問を受けた。一方で一部議員からは、公平な審理とは言えないとの指摘もあった。オノ氏は元ミシガン大学長を務め、またカナダ・ブリティッシュコロンビア大学やシンシナティ大学の長でもある。
フロリダ大学次期学長選任プロセスは一から再開されることになりそうだ。