福山大人間文化学部の中島学教授は、日本の刑務所が長い間、「懲罰主義」の観点から運営されてきたことを指摘。この「懲罰主義」とは受刑者に苦しみを与え、犯罪を繰り返さないようにするという考え方であり、その結果として刑務作業が中心となる処遇が一般的でした。
しかし、近年では受刑者の社会復帰後の生活支援の重要性が認識され始めています。中島教授は、「受刑者が出所後に再び犯罪を起こさず、必要な支援を受けながら社会の一員として生きていくためには、社会との連携が必要」と述べています。
刑務作業における問題点としては、多くの場合それが社会復帰後の就労と直接結びつかないことが挙げられます。従来の方法では、受刑者が自らの意思で選択や行動を決定する能力が育たず、犯罪からの立ち直りが困難な状況にありました。
中島教授は、「今後、刑務所での処遇はより人的な支援を重視し、受刑者の社会復帰後の生活と密接に関連した作業を行うことが求められる」と語っています。また、専門家の間では、こうした変化が日本の刑務所全体に広がることで、犯罪者に対する社会の姿勢や対応も根本的に変わる可能性があるという認識が共有されています。