日本では2年前から始まった「相続土地国庫帰属制度」が、道路に面していない土地や傾斜地、樹木で覆われた土地といった管理や売却が困難な土地の所有権を国へ引き渡すことが可能となりました。この制度は利用件数が急激に増加し、2023年度には258件だったものが昨年度には1229件と4.7倍に伸びています。特に宅地では、110件から454件へと大きく増加しました。
この制度を利用する場合、国は土地を引き取る際に10年分の管理費用として原則20万円の負担金を徴収していますが、実際には柵設置や草刈り、異物除去などの作業でその費用を超えるケースも多くあります。少子高齢化が進む中、国が引き取る土地も増加傾向にあり、今後は管理費の負担が重要な課題となります。
財務省は、この問題を解決するため、土地の状況に応じて管理作業を簡素化する方針や、民間への売却時に価格調整ができるように制度を見直す検討を行っています。また、月内には有識者を集めて議論を開始し、導入から5年が経過する2028年に向けて具体的な見直し方針の策定を目指します。